「私の遺言」を作ってみました(その1)

2022/06/14
遺言は、生前の意向を自身が亡くなった後に、実現するためのものです。15歳に達した者は、遺言をすることができる(民法第961条)となっていますが、「自身や家族の病気等」や「ライフイステージの変化」などのきっかけがないと、なかなか遺言を作ろうとは考えないものです。
それは、行政書士である私もそうでした・・が!やっと今年、「終活」の一環として、遺言を作成してみました。
そこで、以下の3回に分けて、私の遺言作成を例にして、遺言についてご紹介します。

【1】遺言の種類
①自筆証書遺言
②公正証書遺言
【2】遺言の内容
①何を、どう書く
②付言事項
【3】意思を確実に反映するために
①遺言による信託
②負担付遺贈

【1】遺言の種類
一般的な遺言としては、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類が代表的です。

①自筆証書遺言
文字通り自分自身が自筆で作成し、保管するものです。自由に書くことができますが、遺言として効力を発生させるために、必要な要件を満たしていなければなりません。
・内容、作成日が自署されている
・署名、押印がされている 

(メリット)
・費用がかからない
・誰にも知らせずに作成できる

(デメリット)
・形式不備や訂正・加除の方式が守られていないなど、遺言者の意向どおりの効力が発生しない危険性が高い
・相続開始後,家庭裁判所の検認が必要
・死後に発見されないこと、見つけた人に隠匿・改ざんされることがある

そこで、こういった自筆証書遺言のデメリットを避けるため、2020(令和2)年から法務局で保管する制度ができました。

〇自筆証書遺言保管制度
自筆証書遺言を作成したのち、法務局に預け、画像データ化して保管する制度です。
これは、法務局に保管申請(手数料3,900円)時、本人が出向く必要がありますが、自筆証書遺言の以下の点は、改善されました。
・家庭裁判所における検認が不要
・関係遺言書保管通知、死亡時通知が届く
・長期間適正に保管 死亡後50年間(画像データ:同150年間)

ただし、法務局では、自筆証書遺言の外形的なチェックは行うものの、内容とその有効性が保証されるものではありません。つまり、遺言者が残した内容が意向どおりの効力を発生しない危険性は残ってしまいます。

また、高齢や病気等で、自筆で書くことができない状況では、そもそも自筆証書遺言は作成することができません。
やはり、確実に遺言が法的効力をもって、相続されるための遺言の決定版は、「公正証書遺言」と言えます。今回「私の遺言」も、家族と相談して、公正証書遺言で作成しました。

②公正証書遺言
遺言者が遺言内容を公証人に伝え、公証人がこれを筆記して公正証書による遺言書を作成するものです。
遺言者が公証役場に行けない状況でも、公証人の出張が可能です。自宅、介護施設、病院等に出張して、公正証書遺言を作成してもらうこともできます。

(メリット)
・公証人が形式面をチェックし、内容のアドバイス等をしてくれる
・公証役場で長期間保存(半永久的又は遺言者の生後120年間保存等)
・家庭裁判所の検認が不要のため、相続開始後の手続きが早く進められる

(デメリット)
・費用がかかる
・証人2人以上の立会いが必要
遺言を作成する状況、相続人との関係、また自筆証書遺言と公正証書遺言のメリットとデメリットを考えて、選択はそれぞれでしょう。
でも、いずれの形にせよ、自分の死後、周囲のみんなが相続で思い煩うことないよう、思いを託す「遺言」を作っておくことは、とても大切なことだと実感しています。
次回は、遺言の内容を考えてみましょう。

参考:
〇法務局ウェブサイト
自筆証書遺言及び公正証書遺言の作成例 
自筆証書遺言保管制度
〇日本公証人役場連合会ウェブサイト
遺言

=プロフィール=
プラン行政書士事務所  代表行政書士  中西浩子
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