「私の遺書」の2回目は遺言の内容について、実際の遺言の作り方のステップをご紹介します。
【1】遺言の種類
① 自筆証書遺言
② 公正証書遺言
【2】遺言の内容
① 何を、どう書く
② 付言事項
【3】意思を確実に反映するために
① 遺言による信託
② 負担付遺贈
【2】遺言の内容
相続が発生すると、遺産は法定相続分にしたがって、相続人に機械的に配分が決定されますから、配偶者や子のうちの1人に多く財産を残したり、相続人以外の者(子の配偶者、お世話になった方)に財産を残したりすることはできません。
それを遺言者の意向で、法定相続分によらない方法で遺産を渡すことができるようにするには、以下を押さえておきましょう。
① 何を、 どう書く
・相続分の指定、指定の委託
遺言者は、個々の相続人の相続分を指定することができます。
例えば、
ただし、兄弟姉妹以外の法定相続人は、遺留分(法定相続人に対して保障される、最低限の遺産取得分(民法1042条1項))を有しているので、遺言によって法定相続分の権利が侵害された場合、相続分の金銭を請求されることもあり得ます。(相続を知ってから1年以内)
・遺産分割方法の指定、指定の委託
遺言者は、不動産や預貯金、その他動産など個々の財産を、誰に与えるか指定できます。分割内容を指定する例です。
・遺贈
遺言による財産の贈与で、相続人でない人に対しても財産を残すことができます。小説やテレビドラマにもなった「元彼の遺言状」にも出てきた遺言の例ですね。
やはりこれも、相続開始後に、相続人の遺留分侵害額請求が行われる恐れがあります。
② 付言事項
法的効力はありませんが、遺言者が自らの考えや気持ち、家族へのメッセージを遺言書に記載できます。各相続人に対し遺言への理解を得るために、作成した背景を説明すると考えてもよいでしょう。
今回、「私の遺言」を作成するにあたり、事業を行っている夫にも同時に遺言を作ってもらいました。そのなかで付言事項に書いた内容は、今後の事業承継にも関わるものとなりました。
でも、それはあくまでも、私たちの気持ちの表明で、法的効力を持ちません。そこで、選んだのは、「遺言信託」です。
そのことは、次回、第3回で。