「私の遺言」を作ってみました(その3)

2022/08/29
「私の遺書」の3回目は、事業継承や不動産管理を考えている方向けに「信託」を組み入れた遺言、また、指定した条件を付け、それを実行することで相続できる「負担付遺贈」などをご紹介します。

【1】遺言の種類
 ①自筆証書遺言
 ②公正証書遺言
【2】遺言の内容
 ①何を、どう書く
 ②付言事項
【3】意思を確実に反映するために
 ①遺言による信託
 ②負担付遺贈

【3】意思を確実に反映するために
 ① 遺言による信託
信託とは、受益者のために、特定の者(受託者)に一定の財産等を管理・運用等をさせることを言います。その設定は、遺言で行うことができます。(信託法第3条第2項)
例えば、「不動産を一族で継いで欲しい」と考えていても、単に「相続させる」という遺言では、いったん相続が行われ、相続人が売却したとすれば、そこまでです。自分の相続の次の相続(二次相続)のことは、自分では指定できません。
でも、遺言で「信託する」とした信託財産(不動産)について、遺言者(夫)は、受託者(子)、受益者(妻)を指定するなどして、自分の死後、不動産賃料収入から、妻に生活費や看護療養費等を計画的に給付してもらうことができます。さらに、受益者(妻)の死後は、子の妻を受益者に指定するなど、財産の行き先を次の次、そのまた次というように、連続して指定することができます。終了の時期も決めることができるので、その時期まで継続して効力が生じます。

(例 遺言による信託)
注:信託銀行などで「遺言信託」と呼ばれているものは、「遺言書」の保管等のサービスの商品名として使用されています。「信託銀行が預かっている遺言」といった意味で、法律上の「信託」とは無関係ですので、ご注意ください。
上記で説明している「遺言による信託」は、公証人の認証を受けた公正証書遺言で行われているものです

 ②負担付遺贈
財産を単に遺贈するだけでなく、受遺者に何らかの義務を負担させることを「負担付遺贈」といいます。(民法1002条)
例えば負担の内容は、残されたペットを終生世話する、遺言者の葬儀を執り行う、墓の管理をする・・など、さまざまに決めることができます。

(例 長男に多く相続させて妻の面倒をみてもらう)
ご紹介してきたように遺言の形は本当に多種多様ですが、自らの意思を確実に反映するために、いろいろな方法を検討し、適切な判断ができるうちに準備しておくことは、とても重要です。
まだまだ、人生の途上で、これからの変化も読めないので決めきれない・・と、遺言作成になかなか踏み切れないかもしれません。「試しに作ってみようかな」でもいいので、一度トライしてみてはいかがでしょう。
作ってみると、本当にすっきりと気持ちが落ち着き、老後100年の暮らし方を明確に意識できる気がしました。今回、夫婦で遺言を作成してみての私の感想です。

=プロフィール=
プラン行政書士事務所  代表行政書士  中西浩子
日本で暮らしたい、農業をはじめたい
さまざまな思いを全力でサポートします。


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