農業法人設立と認定農業者(その2)

2023/02/28
群馬県太田市の株式会社タベイの代表取締役の田部井社長へのインタビューの2回目では、農地所有適格法人の設立、その後の具体的なステップを語っていただきました。

1 経営継承を考える
2 作目を絞る
3 農業法人の設立
4 認定農業者となる


3 農業法人の設立
・これからの農業
代々、農家として、野菜や米を作ってきましたが、父の代まで農業関係の補助金や融資などは一切利用したことはありません。
これからの農業の継続を考えて、ごま栽培をメインとし、ごまの直売・加工を視野に、農業法人化を決めました。

・ごまの利点を活かす
ごまは野菜と違って貯蔵がきくので、収穫・乾燥・調整作業をし、小分けにして販売する場合でも、品質の劣化はほぼありません。軽量ですから、封筒サイズで郵送販売をすることも可能ですし、送料も安くすみます。直売所やインターネット販売中心で事業展開し、流通・販売を全て自社内で担っても、野菜を送って売ることを思えば負担は軽いです。

参考:農林水産省ウェブサイト
<具体化ポイント2>農業法人とは
農業を営む法人の総称で、会社法に基づく株式会社や合名会社、農業協同組合法に基づく農事組合法人に大別されます。
その設立に当たっては、株式会社や合名会社として設立する場合は、一般的な会社の設立と手続きは同じです。ただ、農地所有法人として、満たすべき要件があります。
1  売上高の過半が農業(販売・加工等を含む)
2  構成員・議決権要件:農業従事者が総議決権の1/2超
3  役員の過半が農業の常時従事者(原則年間150日以上)・・・などです。

4 認定農業者となる
・課題解決のためには
ごま栽培で省力化を考えるなら、何よりも選別作業です。機械で効率を上げようと、ごま色彩選別機を買うことにしました。それには、農業法人として市の認める「認定農業者」でなければ、各種補助金や支援が受けられないんです。
この認定農業者制度は、両親が農業を始めたずっと後にできた制度ですから、いままで申請していません。今回、新たに農業法人として、「認定農業者」を申請することにしました。

参考:農林水産省ウェブサイト
>認定農業者制度
<具体化ポイント3>認定農業者制度
農業者が農業経営の目標に向けて、経営の改善を進める計画を立て、市町村がその計画を認定することで、重点的に支援を行うための制度です。
「何の作目を」「どのようなステップで」という過程を整理し、5年計画を明確にした営農計画を立てます。その計画実現に必要な機械、設備、資材、それを支える労働力は・・と詰めていくことになります。
そのうえで実態に見合った補助金・交付金、各種の青年就農支援金等の活用を検討していきます。
農林水産省ウェブサイト>農業経営改善計画の営農類型別等認定状況(令和3年3月末現在)
https://www.maff.go.jp/j/kobetu_ninaite/n_seido/nintei_zyokyo/r3a.html

・安定した農業経営のために
ごまは5~10月で、播種~収穫となります。裏作として、秋蒔き小麦を作付けし、より安定的な農業経営をすることにしました。周囲の農地の確保のめどをつけ、規模拡大を図る準備も整いつつあります。まさに、これからが正念場です!

(写真:小麦畑にて)

最後に・・・
田部井社長はこれまでの「生業」から「経営」へと考え方を切り替え、明確なビジョンを持って、農業を捉えていました。これは、農業法人の設立には、絶対に欠かせないことです。
そのうえで、ごま作りへの熱い思いを語ってくださいました。そんな株式会社タベイの設立に関わることができて、本当によかったです。これからも、応援してます!

=プロフィール=
プラン行政書士事務所  代表行政書士  中西浩子
日本で暮らしたい、農業をはじめたい
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