限界なんて、ただのハードル! その2

2023/06/15
群馬県中之条町で農地所有適格法人を設立した山岸社長のインタビュー2回目は、株式会社零の経営戦略や今後の計画などをお聞きしました。

・なぜ、農業を目指したのでしょうか
(ポイント解説:新規就農者支援事業)
・今回、会社設立を考えたきっかけは?
・会社の名前「零」の由来
・株式会社零が目指す農業経営
・将来の目標

〇支援金はないつもりで稼げ!
山岸社長の農業研修時の農園主は、「5年間もらえる支援金はないつもりで稼げ。支援が終わった6年目で行き詰まるぞ!」と言われたそうです。ですから、交付された新規就農者支援金は、農業機械や育苗ハウスなどの設備投資に回したといいます。

【2月の育苗ハウス 定植を待つサニーレタス】
<会社の名前「零」の由来とは>
僕は中之条町の出身ではないので、血縁も地縁もまったくない「0(零)」からのスタートでした。それにも関わらず、中之条町は受け入れて支援金を出し、研修で育てて、農地を貸してもらうことで、やってこられました。ここからは、いただいたものと自分の力でどこまで可能性を広げていけるか、だと思ってます。
だから、これからもっと会社が成長していっても、スタート地点の零を忘れないようにって、ことですかね。

<株式会社零が目指す農業経営とは>
今はメインで作っている白菜で、高品質のものを出荷して市場の信頼を得ることです。面積を増やしても、茨城県や長野県には絶対に勝てません。働き手2人で無理に農地を広げては、手入れも行き届かずに荒れてしまいます。だから量でなく品質で勝負です。
白菜の1箱4玉入りで平均出荷額の4~6割増しで大手スーパーの「バイヤーいち押し」に指名してもえるようになってきています。
この評価を落とさず応えていくには、バイヤーが希望する時期に希望する量を出荷し、ロスが出ないよう畑ごとに播種・定植を計画しています。
売り込みには、中之条町だけでなく、農協も連携して町の白菜農家を束ねて、販売に力を入れてくれています。「高品質な白菜」を求めている購入先を広げていこうと、首都圏だけでなく、愛知県にも市場動向の視察に行かせてもらいました。

【山岸社長の白菜】
<将来の目標は>
法人化すると6次産業化といわれがちで、それもありですが、まだ先のことですね。
ステップとしては、従業員を増やして、雇用を作りだす。特に高校生の就農先となるような農場を目指したい。そのうえで、若い視点から加工のアイデアも出していって、SNSなどの情報発信も考えていきたいです。
結果的には、町に県内外からの人を呼び込みたいですね。それはチャンスをくれた中之条町への恩返しにもなるかな、と思います。

〇まとめ
山岸社長は熱く語るというよりは、冷静に計画し分析し、ブレのない目標へ次の一手を確実に、でも臆せず出していく感じです。事務室のホワイトボードに「限界なんて、ただのハードル!」と書いておられますが、そもそもハードル超えを楽しんでいる感じです。
周囲からの信頼も厚く、新規就農者向けの講演や農協の勉強会などの依頼も多いとのことで、伺った折にも講演用の説明資料をパワーポイントで作っていました。
ただ、週1日は休むようにして、整体へ行って体のメンテナンスです・・と聞くと、若いとはいえ無理は禁物です、とお母さん的なことを言ってしまう私でした。

=プロフィール=
プラン行政書士事務所  代表行政書士  中西浩子
日本で暮らしたい、農業をはじめたい
さまざまな思いを全力でサポートします。
まずはお気軽にご相談ください!