「そば」を作る人たち その1

2024/02/21
日本三大そばといえば、岩手県のわんこそば、島根県の出雲そば、長野県の戸隠そばといわれています。今回は、そのひとつ、長野県戸隠高原の 株式会社おびなた 本社工場に行ってきました。
会社法人設立で、私が関わった群馬県高崎市の「HANAZONOふぁーむ株式会社」の皆さんとの見学ツアーの報告です。

1戸隠そばの歴史  
2本社工場 あらゆるニーズに応える 
3そばの生産

1 戸隠そばの歴史 
戸隠山は、平安から鎌倉時代には山岳信仰の場として栄え、山を訪れる修行僧の五穀断ち(主食である、稲・麦・粟・大豆・小豆などの穀物を断つ)苦行の体力を支えたのが、栄養豊富な「そば」だったそうです。とはいえ、当時はそば粉を持ち、水にといて食べていました。現在の細長い「そば」の形は、江戸時代に「そば切り」の技術が伝わり、修行者へのおもてなしとして、そばが振る舞われるようになりました。

(株式会社おびなた 工場とそば畑)
2 本社工場 あらゆるニーズに応える 
<株式会社おびなたのプロフィール>
創業大正6年 食料品・雑貨の販売を開始
昭和27年 石臼製粉機・ロール製粉機を導入し、そば粉の販売を開始
昭和35年 製粉工場・乾麺工場を建設
その後も、最新機器の導入や改良で、FSSC22000認証取得
そば打ち体験など食育にも力を入れています。
 
製粉されたそば粉が練られ、反物みたいに長くなって出てきて、切断され、そこから乾燥、袋詰め・・食品工場の見学は、いつまでも見飽きることなく眺めていられます。
近代的な工場でありながら、ずらりと並んだ48台の石臼製粉機がとても印象的でした。
こだわりの石挽きそば粉にも、きめ細かく応えていけるわけですね。

(石臼製粉機)
そば粉のイメージは、うどんより黒、または灰色ですが、一番挽きそば粉は、真っ白です。あまりに白いと、うどんとの見た目の違いはわかりにくいなど、顧客ニーズに合わせて、使用するそば粉を調整しています。

(玄そばから、各種そば粉)
3 そばの生産 蕎麦の國
国産そばの増産にも意欲的に取り組んでいて、関連グループ会社「有限会社 蕎麦の國」の代表取締役の竹内社長にもお話を伺ってきました。

平成15年に農業生産法人として立ち上げ、工場周辺の農地で、そば約30haを作付けしています。その生産を支えるのは、敷地内の大型倉庫にずらりと並んだ大型トラクタ、コンバイン、播種機・・などなど。その他、獣害対策用の電気柵、バッテリーなど、山あいの戸隠ならではの苦労も多いと言います。

竹内社長のお土産販売所の一押しは「そばはちみつ」だそうです。
そばが実をつける手助けに、そばの開花後にみつばちを放します。そのそばから採取されたのが「そばはちみつ」で、通常のはちみつよりも、色は黒い感じで、味も風味も個性的ですが、黒糖にも似た濃厚さがあります。竹内社長のおすすめの食べ方は、ヨーグルトやバニラアイスのトッピングのほか、そのままパンに塗ったり、調味料として、中華料理やフランス料理の隠し味に使ってもおいしいそうです。
お土産販売所は、その他のそば製品も充実していて、私はそば焼酎を買ってきました!

(有限会社 蕎麦の國 竹内社長)
〇最後に
今回見学させていただいた株式会社おびなたは、長野市内からヘアピンカーブの七曲りを登って開けた先にある、まさに「大」工場でした。1月の訪問のため周囲は雪でしたが、大日方専務のそば作りのお話は熱かったです。これからの群馬県でのそば生産のビジョンを語るHANAZONOふぁーむ株式会社の皆さんも、その熱量に呼応するように熱く、盛り上がっていました。

次回以降、「そば」を作る人たち その2
・HANAZONOふぁーむの設立
・国産そばの可能性 
・そばの花見
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