12月8日、広島にて

2024/12/17
突然ですが、広島に行ってきました。
2024年ノーベル平和賞が日本被団協に決まったこともあり、改めて広島平和記念資料館に行こうと思い立ってのことです。12月8日は、開戦記念日(1941年、日本海軍が真珠湾を攻撃して太平洋戦争が始まった日)でもあり、戦争や核兵器について、改めて考えてみました。

【広島原爆ドーム】

◎広島平和記念資料館
2019年にリニューアルされた広島平和記念資料館に行くのは初めてです。最初のパネル、被爆前の広島の町は、造船や金属工業など軍需産業で栄えた軍都だけあって、市電が走り、建物や商店には、多くの人が行きかい、学生たちの笑顔の写真もありました。
そして、8月6日午前8時15分、人類史上初めて、広島に原子爆弾が投下され、そこから実物展示が続きます。多くの子供の衣服が並んだ展示は、その日に彼らがどんな状況で傷つき、血を流し、やけどを負い苦しんだのか・・はっきりと伝わってくるようでした。野外で建物疎開作業に取りかかっていた多くの中学生たちが被害に遭ったのです。
ほかにも遺品が実名と共に数多く展示されています。錆びて朽ちかけている三輪車は、亡くなった3歳の子供のために、親御さんが一緒に埋めたものです。持主に開けられることなく、おかずごと炭になっているお弁当もありました。銀行の入口階段に腰掛けていた人は、近距離で原爆が炸裂し、影だけがその石段に残されています。
写真はわずかですが、当時の様子を描いた絵が何点も展示され、状況を伝えるコメントもあります。被爆により焼けただれた皮膚を垂れ下げて逃げる様子や、瓦礫の下敷きになって叫んでいたのに「助けてあげられなくて、ごめんなさい・・」「水も飲ませてあげられなかった」と、書き残すこともどんなに辛かったことでしょう。

展示を見終わってから、被爆体験伝承講話/家族伝承講話も聴いてきました。やはり、読み物と違って、肉声で語られることは、その熱量が伝わる気がします。79年前のことを語るには、直接の被爆者から引き継いでいかなければできません。
その点では、家族伝承講話だけでなく、公園内の原爆の子の像や全国から寄せられた折鶴展示の周辺で、緑色のジャンパー姿でガイドをしている多くのヒロシマピースボランティアなども、頼もしく感じます。当日は日曜日でしたが、修学旅行なのか、多くの中高生グループがボランティアの話に、熱心に聞き入ってメモを取っていたのが印象的でした。

参考>広島平和記念資料館ウェブサイト

◎対話ノート
広島平和記念資料館の出口付近には、何冊かの対話ノートが設置されていて、日本各地からだけでなく、様々な国からの来館者が感想や思いを綴っています。
多くは核兵器の怖さを知り核廃絶を誓う、これからの平和を祈る、といった記載ですが、中にはアメリカを名指しで強く非難する文章もありました。
原子力爆弾の被害や惨状などを見た後なので、ヒロシマ・ナガサキに発射ボタンを押したアメリカを恨む気持ちをぶつけたくなるのは、よくわかります。でも、それだけでは「リメンバー・パールハーバー!原爆は戦争終結を早めた」と主張する流れを、押し返すことはできない・・・と、悶々とした気持ちで帰途につきました。
◎いつ被害者になってもおかしくないし、加害者になるかもしれない
さて、そんな風に私なりの「12月8日」を過ごし、日本被団協の12月11日のノーベル平和賞授賞式を見ました。
田中熙巳さんのスピーチは、圧倒的な説得力で、奮える気持ちで聞きました。そして、この内容が世界に発信されたことを誇らしく感じました。

【ノーベル平和賞受賞 被団協 田中熙巳さんの演説 全文】
参考>NHKウェブニュース

「核兵器の保有と使用を前提とする核抑止論ではなく、核兵器は一発たりとも持ってはいけない。直ちに発射できる核弾頭が4,000発もあり、広島や長崎で起こったことの数千倍の被害がありうる。いつ被害者になってもおかしくないし、加害者になるかもしれない。」

日本の現在地は、5,000発以上の核を保有するアメリカの傘の下、核共有を提唱する首相を擁しています。
でも、今回の被団協のノーベル平和賞授賞式への参加に、多くの関係者を送れるよう呼びかけられたクラウドファンディングには、目標額1千万円をはるかに超える4,400万円以上が集まりました。現地を訪れた被爆者や高校生平和大使たちは、各国メディアの取材に応じたり地元の学校で被爆体験を証言したりして、核兵器の非人道性や被爆の実相を世界に伝えてきてくれました。

【原爆の子の像】
参考>広島市ウェブサイト>
https://www.city.hiroshima.lg.jp/site/atomicbomb-peace/9204.html


田中熙巳さんの演説の結びの言葉です。
「人類が核兵器で自滅することのないように!!そして、核兵器も戦争もない世界の人間社会を求めて共に頑張りましょう!」

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